塗装工事で使用する塗料による耐用年数の違いとは?詳しく解説

国土交通省によると、日本の住宅の寿命は平均30年との調査結果がまとめられています。住宅の寿命を延ばすためには、計画的な点検・補修・交換が必要とされており、外壁や屋根の塗装工事も住宅の寿命を延ばすための重要な補修のひとつです。

この塗装工事の必要なタイミングは、一般的に10年が目安と言われていますが、実は使用する塗料の種類によって、耐用年数は大きく変わります。そこで今回は、塗装工事で使用する塗料による耐用年数の違いについて解説します。

塗装工事で使用する塗料によって耐用年数が変わる理由とは?

塗装工事が住宅の寿命を延ばすことにつながるのは、主に紫外線や風雨などから塗料が建物を守ってくれるからです。したがって、塗料が本来の性能を発揮できる期間が、耐用年数に大きく関わってきます。

塗料は主に顔料・溶剤・添加剤・樹脂の4つの成分から構成されており、それぞれの役割は以下の通りです。

  • 顔料:塗料の色彩を作る
  • 溶剤:樹脂を溶かしたり薄めたりする役割
  • 添加剤:塗料の性能を補助的に向上させる
  • 樹脂:塗料の骨格を作る

樹脂の種類には、アクリル樹脂やシリコン・ウレタン樹脂などのさまざまな種類があり、この種類によって塗料の種類が分類されます。そして、これらの樹脂の違いによって、長持ちする度合い(対候性)に違いがあるため、使用する塗料の種類によって耐用年数が変わってくるのです。

2.塗装工事に使う代表的な塗料と耐用年数

ここまで、塗装工事で使用する塗料によって、耐用年数が変わる理由について解説してきました。ここからは、住宅の塗装に使用される代表的な塗料の耐用年数や特徴について解説します。なお、耐用年数については統一された基準のようなものはなく、各塗料メーカーにより製品仕様の中で説明されているものです。下地塗装の有無や環境によって、その年数は前後することもあります。

アクリル系塗料

・耐用年数:4~7年
・主成分:アクリル樹脂
・特徴:ホームセンターなどでも安価に購入でき、塗りやすいため、DIYにおすすめです。発色がよく、透湿性が高いという特徴もあります。しかし、耐久性が低いため、近年は住宅の外壁や屋根塗装に使用されることはほとんど無くなりました。

ウレタン系塗料

・耐用年数:8~10年
・主成分:ウレタン樹脂
・特徴:価格が比較的安価で、弾力性と密着性に優れた特徴があり、ひび割れしにくいことから、モルタルや木材系の外壁に使用するのに適しています。しかし、断熱材を使用したサイディング外壁には不向きで、耐久性もさほど高くありません。

シリコン系塗料

・耐用年数:10~16年
・主成分:シリコン樹脂
・特徴:価格が比較的安価でありながら、太陽光や風雨の影響を受けにくい性質があり耐久性が高く、コストパフォーマンスが高いことから、住宅の外壁塗装に人気が高くなっています。ただし、アクリル塗料やウレタン塗料と比べると価格は高めです。塗膜が固く、湿気がこもりにくい性質もあります。しかし塗膜が固くなる分、ひび割れがしやすいデメリットがあり、モルタルや木材に塗装するときには注意が必要です。

ラジカル塗料

・耐用年数:8~15年
・主成分:製品によって主成分となる樹脂が違う
・特徴:樹脂をラジカル制御した塗料です。塗料の劣化の原因となる「ラジカル」の発生を抑える酸化チタンを使用しており、耐久性が高く、防汚性・防カビ性に優れた特徴があります。塗装する材質に合った樹脂を主成分とする製品を選ぶことができ、幅広く使用することができるというメリットもあります。ただし、色の選択が白や淡い色の製品しかなく、濃い色の選択肢がないというデメリットがあり、さらに新しい塗料のため、塗装経験のある業者が少ない点には注意も必要です。

※ラジカル=酸化チタンに紫外線が当たることで発生するエネルギー

フッ素系塗料

・耐用年数:15~18年
・主成分:フッ素樹脂
・特徴:塗膜が固く耐久性に優れており、汚れやカビなどを防ぐ効果も高い高機能な塗料です。その分価格が高く、塗装が難しい塗料のため、DIYには不向きとなっています。商業施設などに使用されることが多く、一般住宅への普及率は低いのも特徴です。塗膜が固い分、シリコン系塗料同様にひび割れしやすいデメリットもあります。

無機塗料

・耐用年数:17~20年
・主成分:セラミックやケイ素などの無機物
・特徴:紫外線で劣化しないという特徴があり、フッ素を超える対候性があります。また、防汚性・防カビ性に優れ、不燃性があるというメリットもあります。しかし、価格がかなり高く、ひび割れがしやすいというデメリットがあることも押さえておきましょう。また、十分な性能を発揮させるためには、一定の厚みで塗装する必要があり、職人の技術が求められる点にも注意が必要です。

建築物の耐用年数と塗装工事の耐用年数の考え方について

塗装工事の耐用年数は、塗料の種類が大きく影響することをご理解いただけたものと思いますが、塗料の選択をするうえで、もう一つ考慮すべき点が建物そのものの耐用年数です。建築物の耐用年数は、国税庁が定める建築物(償却資産)ごとの耐用年数を目安にすることができます。住宅用建築物の定められた耐用年数は下記の通りです。

  • 木造・合成樹脂造のもの:22年
  • 木骨モルタル造のもの:20年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの:47年

塗装工事が必要となったタイミングで、建物の寿命がまだ先が長い状況であれば、多少コストがかかっても耐久性の高い塗料を選ぶという判断もできます。逆に、建物の寿命が残りわずかな状況で、無駄に耐久性の高い塗料を選ぶ必要はありません。このように、塗装する建築物の耐用年数を踏まえて、コストと必要な塗り替え頻度を考慮しながら、適切な塗料を選択するようにしましょう。

まとめ

塗装工事の耐用年数は、使用する塗料の種類によって大きく変わります。塗装する建築物の築年数や想定している塗り替え頻度とコストを踏まえて、適切な塗料を選択するようにしましょう。今回は住宅塗装に使われる代表的な6つの塗料について解説しましたので、これから屋根や外壁の塗り替えが必要となる方のご参考になれば幸いです。

福岡県福岡市にあります「有限会社白石工務店」では、屋根塗装や外壁塗装などの各種塗装工事を承っております。福岡県で塗装工事をお考えの際は、ぜひ当社へご相談ください。

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